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2021.06.19

農園の個性を確立する!無農薬玉ねぎのマーケティング考察

1月から始まった怒涛の玉ねぎ出荷も、5月末で無事完売!当園は、1~3月[葉玉ねぎ]→4~5月[新玉ねぎ・トロペア(イタリア赤葉玉ねぎ)]と順に販売しています。需要のある晩生の玉ねぎですが、私たちは冷蔵保存する場所がないこと、栽培期間が長く病気のリスクが高いため栽培はしていません。その分、採れたての鮮度や旬を重要視する売り方をしています。
玉ねぎが終わると、やっとペースを抑えて農作業と半期の振り返りが出来る時期です。先週は気が抜けたのか夫婦揃って早速風邪引く始末。

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(我が家の出荷場は、淡路島古民家特有の長屋門。元農家の家なので倉庫付きで使いやすい!)

今年は葉玉ねぎの出荷量が倍近く増え、新玉ねぎ出荷が少なくなる事態となりました。
移住したての時、「葉玉ねぎ」の存在自体知らなかった私は「え?葉っぱ付いてるの?何で太らせないの?」という感じでした。しかし食べてみると納得、冬場のすき焼きや鍋の具材としても使えるし、何より若採りしているのでトロトロに柔らかくて甘い!
この美味しさをもっと沢山の人にも伝えたいと思い、完全にプロダクトアウト(=作り手が作りたいものを作って売る)の考え方で始まった玉ねぎ栽培でした。

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(収穫を終えた玉ねぎ圃場。マルチを剥がしトラクターで耕耘。夏の緑肥ソルゴーを撒く)

葉玉ねぎとトロペアに至っては、2年前初めて販売した時、特に関東方面では馴染みがなく「どう調理していいかわからない」と言われこちらから色々とレシピ提案したり、頻繁に「お客さんどんな反応でしたか?」と聞いてみたり。
とにかく食べてもらう!認知してもらう!ことを念頭に販促をかけていきました。年々品質が上がっていく実感もあり、お取引先の販売努力のお陰で、毎年楽しみにしてくれるファンがつく主力野菜になっています。

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(今年はトロペアのファンが一気に増えて、やっと定着してきた!という手ごたえを掴む)

新規で新しい作物に挑戦する際に「淡路島と言えば玉ねぎ!」というイメージで確実に需要のある無農薬干し玉ねぎを栽培する、いわゆるマーケットイン(=お客さんが求めているものを作って売る)の考え方が無難だったかもしれません。しかし、「生産者が無理せず本当に作りたいものを追求することで、例え珍しい作物だとしても、結果的にお客さんの新しいニーズを掘り起こし、農園の個性を確立する事が出来た」という経験はとても大きな発見で、挑戦して良かったと思います。

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(調整分で捨てていた葉玉ねぎの葉っぱを活用した「ディップソース」など。加工は付加価値を付けて新たな商品に生まれ変わる面白さがある!)

しかし、この結果は「記憶に残る美味しさ」という大前提をクリアしなければ成立しないので、毎年栽培技術と品質を上げて、ブレない農園の個性として着実に確立していきたいです!

次回は「鶏の解体と夏野菜管理」について書きたいと思います。


島ノ環ファーム
FB  @shimanowa.awajishima
Instagram @shimanowa.farm
農園ブログ https://shimanowa-farm.com

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三崎咲

三崎咲(みさきさき)
島ノ環ファーム
兵庫県 洲本市

1988年東京都生まれ。農大卒業後、スイスの農家⺠宿で働き、有畜複合農業を学ぶ。淡路島へ移住後、2018年7月、夫と共に「島ノ環ファーム」を開き、念願の就農を果たす。「平飼いたまご」の養鶏と、その鶏糞や地域の竹や落ち葉といった資材を活用した無農薬・露地野菜を生産。島の名産でもある玉ねぎをメインとして15品目ほどを栽培し、「小さく地域で循環する有畜複合農業」を目指す。

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