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2020.05.16

自分にとって身近な農業資材とは? 愛媛県『中島』で学んだ循環型の有機農法。

皆さんこんにちは!松﨑です。
春先は涼しかったのにもう夏のような暑さでびっくりですね〜。

ここ最近の畑仕事としては、じゃがいもの芽かきやトウモロコシの間引き・移植作業。少量多品目の軟弱野菜の播種や夏野菜用の畝の支柱立てや苗の鉢上げなど、日々筋肉痛と闘いながら慌ただしく作業を進めているところです。

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<鉢上げしたナスの苗>

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<ミニトマト栽培用の支柱の組み立て>


ここ最近の気づきはジャガイモの成長についてです。家庭菜園を含めこれまでに3回ほど多品種でジャガイモを育ててきましたが、今年初めて無施肥区画で栽培をしています。今年のジャガイモは例年の今頃に比べ背丈が低く、葉の色味も淡い緑をしています。何となく収量は落ち込むような気がするのですが食味が例年に比べどのようになるのかが少し楽しみです。

何はともあれ、毎日畑に出て農業に専念できる事に喜びとありがたみを感じる日々を過ごしています。
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さて、今回は就農前の昨年度に松山市の離島『中島』で行われた勉強会についてお話しさせていただければと思います。

皆さんは愛媛県で食べ物と聞けば何が思い浮かぶでしょうか?瀬戸内の魚もむちゃくちゃ美味しいんですけどやはり農作物となれば柑橘が有名です。

中島は松山市の最寄りの港からフェリーで1時間ほどで着く瀬戸内の島の中では割と大きな島で、みかんやレモンの栽培が盛んです。

その中島の宇和間地区で、長年有機栽培で柑橘や野菜を作り続けられてきた泉精一さんという方が中心となり、島内における有機栽培を実践しているグループがあります。

とあるご縁から泉さんの主催される農業の勉強会があると聞き、これは!絶対行かねば!と思いフェリーに乗って参加してきました。(昨年2月末のことです。)

泉さんは元々慣行栽培で柑橘をメインに栽培されていましたが、自身が農薬や化学肥料に頼る農法に対しての違和感や体調不良からくる疑問、そして有吉佐和子さんの複合汚染を読んだことがきっかけで有機栽培に切り替えたそうです。※その当時の農家さんには有吉佐和子さんの複合汚染を読んだことがきっかけで有機栽培に切り替えた方が全国的に少なからずいらっしゃったように感じます。

泉さんの農法はユニークで、身の回りにある資材を生かして循環型の農業を確立しているということです。

具体的に言うと、泉さんは平飼いで鶏を200羽ほど飼っているのですが、その鶏に与えるエサが農業の世界でいうところのぼかし肥料そのものなんです。

泉さん達のグループは、月に数回松山市内へ作物の納品に行く際に、ぼかし肥料作成に必要となる材料を知り合いから提供してもらい、それらを島へ持ち帰り鶏舎の片隅でぼかし肥料を作っています。

材料は穀物を中心に、米ぬか、魚粉、水分調整におから、そして肝となるものが畑の近くで採取した土着微生物を含んだ種菌を混ぜて作ります。

自然と発酵が進み出すので温度を見ながら切り返してを何度か繰り返し、水を含んだおからで水分調整をして温度を抑えながら最終的にはぼかしの山を平らにならして発酵熱を落ち着かせれば完成です。完成したぼかしは発酵した香ばしい良い匂いがします。

このぼかし肥料を鶏たちは餌として与えられており、鶏たちが排出する糞は嫌な匂いもなく、1年ほど鶏舎の中で糞取りをすることなく熟成され、その後肥料として野菜の元肥に活用されています。

また、この平飼いの鶏から生まれる有精卵の卵の殻を玄米酢に溶かして液肥を作ったり、島で採れるヒジキを黒糖と混ぜて発酵させたものをミネラル溶液として作物の栄養生長期に味のせのために散布したりと、一部島外でしか手に入らないものはありますが、なるべくその地で手に入るもので循環していくような仕組み作りがなされていました。

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〈餌を食べる鶏たち。下には匂いのしない鶏糞〉


初めて訪れた際、勉強会のメンバーの方に作って頂いた中島で採れた超極早生の玉ねぎ(泉さん流の栽培方法で作られたもの)で作った玉ねぎ鍋を食べた感動は今も忘れられません。甘みと旨味がジュワッ〜っと体に染み渡っていくのを感じました。

実際に畑の中も見させてもらいましたが、やさしい風が通るなんとも居心地の良い整然とした畑でした。本能でこの畑でできる野菜は美味しいんだろうなという感じがするのです。そんな畑でした。

この中島での学びは、土着微生物や発酵を活かし、身近な資材を用いてどのように土を育て野菜を栽培していくか?そしてそれらを循環の中にどのように落とし込んでいくか?という事に尽きると思います。

まだまだ試行錯誤の日々ですが、自分も自身の圃場環境に沿った農法、自然と向き合い、自然と寄り添いながら農業を続けていける仕組み作りをしていかなければと考えています。

残念ながら中島の勉強会の様子は写真が残ってなかったのですが、鶏舎の鶏たちとヒジキのミネラル溶液作りの様子は過去のインスタに投稿しておりますので興味のある方はそちらを是非ご覧くださいませ!

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〈城と呼ばれている大きな岩〉


五月の半ばには畑も賑やかになりそうです。
さて、それでは今日も畑に行ってまいります!

ドとソとミ 松﨑
instagram:do_to_so_to_mi

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松﨑悠生

松﨑悠生(まつざきゆうき)
ドとソとミ
愛媛県 松山市

1980年愛媛県生まれ。グラフィックデザイナーとして活動していたが、松山の地で先祖代々受け継がれてきた農地を自分の代で絶やすことなく継承したいと考え就農を決意。有機農業生産法人に勤務後、農業の理解を深めるべく日本各地を来訪。2020年4月に独立就農し「ドとソとミ」を開く。安心できる地元の資材を用いた無農薬・無化学肥料の循環型有機農法で育てた旬の野菜を旬の時期に届けたいと意気込む。

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