2018.10.05
薩摩芋と土
9月22、23日に開催されました秋のビッグイベントオーガニックライフスタイルEXPOも盛況のうちに閉幕しました。ほっと一息ついた今、一緒にSHARE THE LOVE for JAPANブースを盛り上げた32組の農家の人間的な魅力や、「いつも野菜を楽しみにしているよ。」って声をかけてくれたお客様の優しい言葉が思い出され、日々の農作業にも元気が湧いてくるような気がしています。
(EXPOにて。テンペと大豆をメインに、在来種の野菜も販売しました!)
私の菜園では、年間20品目ぐらいの野菜を出荷しているのですが、売れ残っても嬉しいぐらいに好きな野菜を育てる事にしています(実際には、売れ残ると困ります!)。そんな中で薩摩芋は、実は私では無く夫の好物で品目に追加する事になりました。
収穫量の差こそあれ、病気のリスクも低く、ほとんどの土で作りやすいと思われる薩摩芋ですが、昨年は私の菜園の中でも一番水はけが悪く困っている土地を薩摩芋にあててしまい、大苦労をしました。収穫が、まるで遺跡発掘調査作業の様相だったのです。スコップで慎重に土を除き、掘り進めていき、折れずに無事掘り上げても、表面に傷が残り痛み易くなったりとトラブルが続きました。
ところが今年も、作付計画を立ててみると、どうしても優良地は西瓜や茄子にあてたくなるのです。そんな訳で今年も連作障害も恐れずに同じ土地で薩摩芋を栽培してしまいました。
先日、貴重な晴れ間を狙い、夫と薩摩芋掘り大会です。精密作業(遺跡調査)に臨む覚悟で取り組んだのですが、なんと薩摩芋が引き抜けるのです。蔓をもって全て引き抜くとまではいかないのですが、去年とは雲泥の差だったのです。
開業して以来、いろいろな土づくりには取組んできたものの、初めて土が良くなった事を実感した瞬間でした。私が借りる前まで長い事作付けされてこなかったその薩摩芋畑は、ただただトラクターで耕耘されてきた結果土が硬くしまり、硬板層が形成され、雨が降ると沼のようになる畑でした。野菜を栽培するようになり、夏に裸地(土をむき出しにする状態)にしないようになっただけでも効果があったのでしょうが、プラウ耕起(下層と上層の土を反転させる農具による耕耘)により地中に空気を送る作業を冬の間にする事で、土が健康的になったように感じています。
3年目にして、少し土づくりの成果が見え始め、とても嬉しかった出来事でした。
(収穫した薩摩芋)
松本真実(まつもとまみ)
滋賀県 東近江市
1981年生まれ。大学院卒業後、分析機器の会社で研究職につく。会社員時代から在来種の野菜に興味を持ち研究調査に同行。さまざまな農家と出会って就農を決意する。三重の有機農業法人に2年間勤務した後、2016年、滋賀県東近江市で、菜園「野菜と旅する」を開く。