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2018.09.08

森を駆け抜けた風

8月末の台風20号(「シマロン」=野性の牛の意味)は、我が家のビニールハウスをくちゃっと壊して去って行きました。涼しくなったら解体しようと思っています。

進路予測では直撃コースも外れ、気象庁の風速予測も下方修正されていく中、23日はハウスバンド(ビニールハウスを締め付ける紐)の締め直しや、扉を専用の器具で吹き飛ばされないように対策し、その日は早目に就寝しました(後に、「あの風の中寝れるのは大物や」と村人に言われましたが…)。

翌日24日、畑へと抜ける小路には大木が倒れ、徒歩で木を処理しながら進むと、微妙なひずみ方をしているハウスが目に飛び込んできました。それから、ハウスに入るまでの数分間には、福沢諭吉がひらひら飛んでいく光景が脳裏に浮かび、ハウスに入った時には、風の威力に畏怖の念を覚えました。

我が家のハウスは、開業した2年前、育苗用を想定して、使っていない歪んだハウスを譲り受けて移築しました。初めての建設だった事も有り、曲がったパイプをベンダーで治しながら時間をかけて建てました。25mmパイプの合掌作り(豪雪対応)で、2年前多くの被害を出した積雪でもびくともしなかった頼もしいハウスでした。

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(横からの風で歪んでしまった我が家のハウス、豪雪仕様も災いした模様)

翌日、頼まれて村の方のビニールの貼り替えや補修などの手伝いに出向きました。ある方のところでは、H鋼材を使った立派なハウスは、骨格はびくともしていないのですが、専用の波板屋根材の貼り替えで200万円(500平米)の見積もりが届いており、維持費がかかる事を痛感しました。

また、他の方のところでは、新設したばかりの35mmパイプの立派なハウスが、ぺっちゃんこになっており、リスクを完全に回避するのは不可能だと感じました。

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(近所のハウスはとても派手に倒壊。潰されたように見えますが、吹上防止のアンカーを打っていないのが原因に見えます)

新しい育苗用ハウス建設の構想を旦那に熱く語っていたら、少々呆れるように「あんたは何でも楽しそうやねえ」って言われました。こんな疲弊するような事でも、新しい事を始める時、ついワクワクしてしまう性分は否めませんが、思ったより精神的なダメージが少なかったのは、1から自分の手で作り、治す方法も知っているからなのではないかと思います。
次はもっと丈夫なハウスを作ろうと思います。
ハウス建設のこだわり、是非ご意見下さい。

追伸、台風20号に引き続き、先日4日の台風21号も滋賀県に甚大な被害をもたらしました。村内では農業用ハウスに加え、倒木が道をふさいだりしましたが、なんとか秋野菜の種蒔きができるように生活を整えています。まだまだ続く台風シーズンですが、穏やかである事を願っています。

challenger

松本真実

松本真実(まつもとまみ)
滋賀県 東近江市

1981年生まれ。大学院卒業後、分析機器の会社で研究職につく。会社員時代から在来種の野菜に興味を持ち研究調査に同行。さまざまな農家と出会って就農を決意する。三重の有機農業法人に2年間勤務した後、2016年、滋賀県東近江市で、菜園「野菜と旅する」を開く。

写真家の眼 松本 真実

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