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2017.05.02

春一番のイチゴ作業

3月、シーズンスタートの身体馴らしとして、私の有機農業の師匠である下島さんが、
自然再生プロジェクトとして森を育てている山「硫酸山」へ。

まだ雪深い山のイタヤカエデから樹液を採り、それを煮詰めてシロップにしました。
いわゆるメープルシロップです。
これからの季節、これを水で割って濃縮還元メープル水として作業時の水分補給をします。
ありがたい自然からの恩恵、やる気の源です。
ますます大地にやさしい農業を目指さずにはいられませんね…!

そして、3月20日「春分の日」。
この日を境に、農作業モードに切り替わります。
春一番に立てたイチゴハウスの中は、昼間、30℃を超えています。
あったかい。虫もいろいろ出てきました。
今回名前を覚えたのは、コシマゲンゴロウ。水生昆虫、肉食です。
土中で越冬するようです。でも夜温は3度前後。
蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山(ようていざん)もまだ真っ白です。
コシマゲンゴロウくんもまだしばらくハウスの中で過ごすのかな。いっぱい食べるんだよ~!

図1

(眠りから覚めたコシマゲンゴロウ)

さて、こんな感じで私の農作業はイチゴ作業から始まります。
見よう見まねのイチゴ栽培は今年で2年目。
昨年度は教えてくださる農家さんを頼っての栽培でしたが、
今年度は自分でイチゴを理解し向き合うことに挑戦です。

ちなみに北海道蘭越町の「一季成りイチゴ」は、
① 前年の夏にランナー(親株から伸びているツル)をとり育苗
② お盆すぎに畑に定植
③ 雪の下でイチゴ株を越冬させる(この時、ハウスにはビニールを張っていない状態)
④ 3月下旬頃にハウスにビニールを掛け、その中で肥料分補給や温度管理により生育を促成
⑤ 5月に花が咲き始め、蜂により受粉
⑥ 6月に赤く実ったイチゴを収穫
という流れです。現在の栽培過程は④。ここで土と向き合ってみます。

土の現状はこちらです。
・ 元々は水田で水はけが良くない。
・ 2種類の雑草(キレハイヌガラシとひげ根の雑草)がたくさんは生えている。
・ コシマゲンゴロウの所属する生態系がある。
・ 越冬後の土壌pHは中性。

イチゴ栽培のために行った土作りはこちらです。
・ 昨年夏に雑草をすき込み。
・ 土壌分析をもとにした肥料メーカーさん設計の基肥(植え付け前の肥料)を施肥(配合化学肥料、有機JAS適合資材の土壌改良剤)。
・ 今年3月、融雪剤として蘭越米農家産の薫炭(くんたん。もみがらを炭にしたもの)を撒く。
・ 越冬後に、肥料メーカーさん設計による春肥(発酵鶏糞、枯れ草菌入の有機80%配合肥料)を施肥し、窒素を補給。
・ イチゴの古い枯葉に付着しているらしい木材腐朽菌(病原菌に拮抗する)を混ぜ込む。

以上です。

2

(越冬後、追肥をし、カラカラになったイチゴの枯葉部分はくしゃっと粉々にし、それらを土に混ぜているところ)

これから、イチゴ畑の様子を見て環境を改善しながら管理していきたいと思います。
でもあるときイチゴ畑の環境が不調和となり、殺菌や殺虫などの化学的な忌避行為の必要にせまられるかもしれません。その時は、一つ一つ納得しながら選択したり、別の土作りを考えたり、少しずつ調和のとれた蘭越町オリジナルの環境で栽培していけたらいいなと思います。

がんばって美味しいイチゴを作りますね!

3

(イチゴのベッド。たくさんの生き物が調和してゆきますように!)

challenger

牧野萌

牧野萌(まきのもえ)
北海道 蘭越町

1983年宮城県生まれ。宮沢賢治に憧れ岩手県立大学で環境政策を学ぶ。震災後、野菜を作る勉強をしようと料理人の夫と1歳半の娘と仙台から移住。蘭越町で研修を受けた後、就農、「牧野農園」を開く。トマトを選んだのは、夫が得意なイタリア料理に使えるという理由も大きい。

写真家の眼 牧野萌

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