2017.11.17
幸せな庭を原点に
我が家には2畝(約200㎡)ほどの小さな雑草エリアがあって、少しずつ開墾し、無肥料・無農薬の畑を作っています。
(こちらは今年6月末の様子。手前のエリアには少しのニンニク。中のエリアは昨年の花やハーブが姿を現しそれに伴い除草。空いたスペースには北方系の野菜を少し植えました。奥のエリアは今年初めて開墾。)
(奥のエリア。エンジン系の苦手な私は手除草しクワで耕起。ジャガイモ畑にしました。)
(9月頭。土をかき分けるとコロコロとジャガイモが現れます。ほんとうにおもしろい!)
こういうことの実践が、私の幸せだったりして、「農業者にならなくてもこういう畑作業をしていただろうな」とたまに思います。
そして、まさに、農業者ではない市民の方の幸せな庭が、それも充実度の高い庭が、札幌を中心に広がってきています。
その火付け役となったのは、札幌市小別沢の「やぎや」さんです。衣食住、それから教育の自給もしてきたご夫婦がやっている山のレストランです。そして、「やぎや」を舞台に「農的暮らしのレッスン」(2004~2013年まで開催)、小別沢の森で「自給の森」(2014年~現在開催中)という市民講座が開かれていて、私のブログ内でよく登場する、有機農業の師匠・下島さんはそこで講師をしていました。
(こちらは札幌市小別沢にある「自給の森」。10月、下島さんと遊びに行きました。講座のメンバー皆で森を開拓し、無肥料・無農薬で畑作りをしたり、森を生活の一部として利用しています。私も2014年の冬、開墾や保存食作りに参加しました。)
このように、忙しい農業者に取って代わったように、都会の方が自給的な暮らしを実践し、経験を積んで詳しくなっていっている現実があります。そう、こういうことがしたければ、農家である必要はなく、むしろ非農家の方が楽しめる気がします。
というのも、新規就農してまだ経営を軌道に乗せられていない私にとっては、自給的な暮らしをすることにタブーを感じてしまうからです。そんな時間があれば「多収量」「多収入」に精を出さないと叱られそう、という後ろめたい思いが迫ってきてしまうのです。
でも、農家だからこそ、幸せな庭から産み出される農産物を、多くの人とシェアする場を作っていけるし、それが独自の販路となっていくのだとも思います。
この庭を、牧野農園として本当の意味での生産の原点にして、納得のいく形の農業を探っていければ、と思うのでした。
(生計を立てる為の農業と、農的暮らしのバランスの取り方について、悶々とした様子は以前のブログ「半農半トマトな現状とこれから」にも綴ってあります。)
牧野萌(まきのもえ)
北海道 蘭越町
1983年宮城県生まれ。宮沢賢治に憧れ岩手県立大学で環境政策を学ぶ。震災後、野菜を作る勉強をしようと料理人の夫と1歳半の娘と仙台から移住。蘭越町で研修を受けた後、就農、「牧野農園」を開く。トマトを選んだのは、夫が得意なイタリア料理に使えるという理由も大きい。