SHARE THE LOVE

2017.08.20

課題の登場

去る7月29日、30日。オーガニックライフスタイルEXPOに、SHARE THE LOVE for JAPAN、大地にやさしい農業を志す新規就農者の一人として参加してきました。

オーガニックの展示会でしたが私のトマトはYES!Clean認証のトマト。
YES!Clean認証は、私の解釈だと、有機農業の考えを根底に持ちつつ、必要最低限の化学肥料や農薬は認められる、北海道独自の認証制度です。
私は有機肥料に比重を置いた土と、ハウス内外の野草帯をひっくるめた環境で、生育を見ながら化学肥料を投じるスタイルで栽培しています。今回は病害虫の目立った被害がなかったので、無農薬で収穫ができました。

とはいえ、やはりオーガニックがテーマの会場への持ち込みは少し抵抗があり、出し方に悩みました。そして、考えを巡らし、「たとえば、もし生態系の中で生きているマタギ(猟師)の方と物々交換するとしたら、どういうものだったら『ありがとう』と言ってもらえるか」という自分なりのテーマを持って出店してみました。

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(感謝の気持ちで仕留めたお肉との交換に値することを念頭に、天然甘味料であり薬でもあるはちみつと、旬の元気なトマト。トマトは、もっとも味が乗る完熟採りのほか、熟した順に食べられるように房ごとのトマト、傷みはあるけど恵みのお肉を煮込むには最適のトマトをごろごろと用意しました。)

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そして、写真左上にあるパネルには、そういったことを、大地に優しい農業を実践するにあたって、自分が大切にしている「自然と共に生きる。」というテーマに沿って書こうと思っていたのですが、段取り悪く混乱状態での出店で、パネルは空白のまま。せっかくのSHARE THE LOVE for JAPANとしての演出、任務を果たせず・・・。ですが、いつの間にか、空白のパネルにメッセージが現れました!

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(隣の渡邉君が書いてくれました。ありがとう!!)

たしかに接客中、「蘭越にぜひ来てみてください!」と何度も言っていた気がします。
「自然と共に生きる。」というテーマに加え、マタギとの物々交換が内なるテーマの出店でしたが、実際の対面のお相手は都会の方。販売が始まると、自然に親しい暮らしを体得しにきてほしいという気持ちがあふれてきて・・・このパネルのメッセージはぴったりでした。

そして、そんな私なりのオーガニックライフスタイルEXPOの中で、気づかされたことが一つあります。「東京から出たことがなくて、農村に行ってみたい」という女性がいて、「ぜひ来てください!」と返答したところ、「でも農薬のアレルギーがあって、農薬が広域散布される地域は難しいかも」と。「オーガニックが好き」なのではなく、「オーガニックじゃないとだめ」な方の存在は、知っているようで落とし込めていなかった自分に、はっとしました。そしてそれは一部の人の話ではなくて、すべての生き物からのメッセージだと思いました。農村の農業者として、課題を突きつけられた気がしました。忘れられないシーンです・・・。

最後になりましたが、有機農業者の方々との交流も含め、貴重な経験をさせていただいたSHARE THE LOVE for JAPANのスタッフの皆様、本当にどうもありがとうございました!

challenger

牧野萌

牧野萌(まきのもえ)
北海道 蘭越町

1983年宮城県生まれ。宮沢賢治に憧れ岩手県立大学で環境政策を学ぶ。震災後、野菜を作る勉強をしようと料理人の夫と1歳半の娘と仙台から移住。蘭越町で研修を受けた後、就農、「牧野農園」を開く。トマトを選んだのは、夫が得意なイタリア料理に使えるという理由も大きい。

写真家の眼 牧野萌

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