SHARE THE LOVE

2021.11.03

プラスチックフリーを考える。

近年、マイクロプラスチック(直径5mm未満のプラスチック)の問題がピックアップされています。
ゴミ処理施設に運ばれず、環境中に残ったプラスチック製品が紫外線劣化などで微細化し、風や水(河川や下水)によって海に運ばれ、環境中に蓄積されています。
海洋に蓄積されたマイクロプラスチックは魚の体内にも入り、その魚を食べる私たちの身体にも取り込まれているそうです。

プラスチック製品は、普段の暮らしはもちろんですが、私たち農家にとっても切っても切れない存在。マルチ等の被覆資材や出荷時の包装資材など、毎日のように利用します。

新しく借り受けた農地を開墾していると、処分されずに残ったポリマルチ等のプラスチック資材が土から出てくることもよくあります。紫外線によって劣化したポリマルチは細かく破砕され、すべてを回収するのは難しく、やはり環境中に取り残してしまいます。

さらに私たちの地域でよく使われている資材に、コーティング肥料があります。

化成肥料は即効性がありますが、肥料成分はすぐに地下へと流亡してしまうため、肥効が長続きしません。コーティング肥料は、肥料成分を微細なプラスチックのカプセルでコーティングし、カプセルが徐々に破砕されることで肥効を長続きさせるものです。
特に水を張った田んぼでは、重たい肥料袋を持って追肥するのがかなりの重労働。コーティング肥料なら基肥に一回施用するだけで最後まで肥効が続くらしく、とても重宝されています。
借り受けた田んぼの排水対策で、水口周りに溝を掘っていた際、大量のプラスチックカプセルが出てきて驚きました。

上記の問題も含め、普段からプラスチック製品の利用には思うところがあり、当園ではポリマルチは使わないことにしています。
さらに一歩踏み込んで、包装資材の脱プラも模索中。
マルシェなどの対面販売では野菜を量り売りにし、包装には古新聞を利用。
葉物では鮮度維持が難しく、まだまだ試行錯誤中ではありますが、その中で生まれるお客さまとの会話も楽しんでいます。
こだわりすぎて野菜の鮮度に影響すれば食味も落ちてしまうので、自己満足にならないように、お客さまからのフィードバックもいただきながら取り組んでいきたいと思っています。

もちろんプラスチック製品をなくすことはできませんが、何よりも日常の当たり前に疑問を持ち、考えることが大切かなと思っています。

kawaguchi14-1

(マルシェでの販売の様子。プラフリー陳列は目を引くようで、お客さまを呼び込む相乗効果もあり!)


organic farmつちのわ
instagram:@tsuchi_nowa
facebook:@organic farm つちのわ

challenger

川口晃平

川口晃平(かわぐちこうへい)
organic farm つちのわ
岡山県 和気町

1987年大阪府生まれ。気候変動への危機感から環境問題に関心を持ち、家庭菜園を始める。土から生まれ、土に還る命の営みや、土壌生態系の美しさに感動し、農業を生業として美しい自然環境を守りたいと考え、就農を決意。研修を経て、2020年9月「organic farm つちのわ」を開業。無農薬・無施肥・自家採種を基本とした自然栽培で、⻨・大豆・露地野菜の栽培を始める。

過去の記事を読む

2021 挑戦者

BACK TO TOP