2021.07.03
自家採種 育種と育土
私たちの農園では育てた作物から種を採り、継いでいく自家採種をおこなっています。
土地毎に大きく異なる気候風土。
無農薬、無施肥で作物を育てる私たちの農法では、土の組成や生物相、気候などが特に大きく影響すると思っていて、やはり種を継ぎ、それらの記憶を刻む事は作物にとっても、私たち栽培者にとっても大切な要素だと思っています。
更に、SHARE THE LOVE for JAPANの「革新者に学ぶ」で石綿薫さんが仰っている、「育土と育種は農の両輪」という言葉。
その土地で良く育つ作物は、その環境に適した遺伝子を持っていて、しっかり根を張ることで土を耕し、根から豊富な有機物を供給する。
作物自身が物理性、生物性に影響を与え、それらは化学性にも影響する。まさに作物による育土。
その土地で良く育つ作物を見つけ、育種することは、育土にも繋がるというのは大きな希望にも感じます。
そして何よりもその種の一生を見届け、変わり続ける姿を感じられることが一番の魅力です。
今月はアブラナ科三種(互いに交雑しない大根、かぶ、のらぼう菜)と春菊、そら豆の種を採りました。
新しい土地で初めての自家採種、次作でどんな姿を見せてくれるのかとても楽しみです。
(切太宮重大根の母本選抜。生育が良く、残したい形質の株を選び、植え直す)
(切太宮重大根の花。命を継ぐための美しい姿)
(長崎赤カブ。追熟、乾燥を終えて、これから鞘から種を取り出す調整作業)
(長崎赤カブの種。彼らの一生を見届け、ここからまた新たな一生が始まる)
organic farmつちのわ
instagram:@tsuchi_nowa
facebook:@organic farm つちのわ
川口晃平(かわぐちこうへい)
organic farm つちのわ
岡山県 和気町
1987年大阪府生まれ。気候変動への危機感から環境問題に関心を持ち、家庭菜園を始める。土から生まれ、土に還る命の営みや、土壌生態系の美しさに感動し、農業を生業として美しい自然環境を守りたいと考え、就農を決意。研修を経て、2020年9月「organic farm つちのわ」を開業。無農薬・無施肥・自家採種を基本とした自然栽培で、⻨・大豆・露地野菜の栽培を始める。