2015.08.07
タイ山岳部に息づく有機農業を訪ねて
7月10日~15日。
私は、タイの北部に位置する、チェンマイから1時間ほど離れた
ウィエンパパオという街にある 「暁の家」 を訪れてきました。
ここは、山岳少数民族の子供達が安心して暮らし、学校へ行き、
職業訓練も受けられるような生徒寮です。
今年度からは、職業訓練を中心に学びながら働く若者の支援をしています。
なぜ、北タイなのか…
今から25年ほど前。はじめて行ったタイの心地のいいやさしい風に吹かれ、
現地の若者と共に農業に取り組みながらその未来を信じて止まない
谷口己三郎先生にお会いし、「今君の瞳は輝いているか」と問いかけられたことが、
今の私の原点だからです。
今回の旅の目的は、その風を感じもう一度思い出すこと。
そして、「暁の家」が取り組んでいる、ルンアルンプロジェクト(代表:中野穂積さん)が
山で有機コーヒーの栽培をしている様子を見に行き、
2年半前に鉢上げのお手伝いをしたコーヒーの苗木の成長を見ることでした。
(こんな風にコーヒーは成長していました)
山岳民族は、焼畑移動耕作(森林などに火を入れて焼いた後に、農作物の作付けを行い、
その後長期間休耕する方式を焼畑耕作と言い、その休耕期間中に
耕作地を移動していく方法を焼畑移動耕作といいます)をしてきた人たちで、
かつてはアヘンの原料であるケシを栽培していたことでも有名です。
その代替換金作物の1つがコーヒーであり、
有機栽培をすることによって、焼畑による煙害の軽減にも繋がるとのこと。
作業はコーヒーの木1本1本に、牛糞発酵堆肥を施すのですが、
これがなかなかの傾斜!
気を許すとズルズルと滑ってしまいます。
そして何より堆肥を下から山の上へ運ぶ作業が大変なこと!
農作業に慣れている私でも、かなりの重労働でした。
でも、そんな時…どこからともなく誰かが歌い始めます。そして、また一人。
笑い声も聞こえてきます。
思わず、遠くの景色に眼をやる汗だくの私にやさしい風が吹いてくれます。
「あ~。自分の手を使い、自分の身体を使うことがこんなにも愛しいとは。」
労働は最高の喜びでした…
頑張った後は、美味しいお昼ご飯です。
バナナの葉がお皿です。もち米のご飯を頂き、エネルギー補給は完璧です。
みんな、いい顔してますね。
今回お世話になった「暁の家」の代表の中野穂積さんは、
「農業は命の仕事です」とおっしゃっていました。
あらゆる生きもの、自然、人…その相互の調和が大切なんですね。
初めて訪れた時から25年経ち、私も44歳。谷口先生は数年前にお亡くなりになりました。
私たちの「風の色」の畑に向かいながら、「今私の瞳は輝いているか」と、
これからも自問し続けていきたいと思っています。
【おまけ】
今回お世話になったアカ族の人たち。
今でもしっかり民族衣装をまとって、日曜礼拝に向かいます。
チャーミングな脚絆ですね。
様々な人とつながる畑に
今村直美・細渕有里(いまむらなおみ・ほそぶちゆうり)
千葉県 我孫子市
まわりのみんながつながり、支えあっていく畑作りを目指す。6年前に2人で就農。今村さんは1970年生まれ千葉県出身、細渕さんは1986年生まれ埼玉県出身。