2019.06.14
植物の成長について(最終回)
こんにちは。
はせがわ農園の長谷川翔太です。
前回までは、植物の成長に対する科学的な要因を書きましたが、今回は植物本来の持つ力をより引き出すために必要な事と、個人的に大事だと思っている心がけを書こうと思います。
先に結論から書くと、必要な事は「植物に少しだけストレスを与えること」で、大事だと思っている心がけは、「植物が喜んでくれるように接すること」です。
「植物に少しだけストレスを与えること」から説明すると、植物も人間と同じで少しだけ厳しい環境になると、より頑張ろうとして、その厳しい環境の変化に対応するように根がより太く丈夫になり、その作物はより強くなると個人的に思っています。
その厳しい環境と言うのは、少しだけ暑い環境を作ることだったり、少しだけ水を切った乾燥状態の時間を長くすることです。
この逆の、生育適温よりも寒い温度で、土に含まれる水分が多い環境は、植物の成長を止めたり、病気の原因を作ることになるので、強い作物を作るのには逆効果になります。
上記の環境は、例外もあるとは思いますが、だいたいどんな作物でも栽培する上で重要な要素になると思っています。
こういった環境をハウスでは特に意識しながら、毎日の作業に当たります。
二つ目の「植物が喜んでくれるように接すること」ですが、
少し話は変わりますが、僕は畑に行くと何故か少し元気になります。
どんなに疲れていても、目の前の作物達と接すると身体が自然と動きます。
これは、「僕が接すると植物が喜んでくれていて、一緒に楽しい時間を共有出来ているからではないか」と、たまに思うことがあります。
僕は普段から、作業は丁寧に行うように心がけています。
これは、ゆっくり時間をかけるという意味ではなく、気持ちをこめるという意味です。
人でもそうですが、ネガティブだったり、悪意のある人とは一緒にいても楽しくないし疲れも増します。
逆に心が優しく、思いやりがある人と一緒にいると楽しいし、時間もあっという間に過ぎてしまいます。
これはそのまま植物との関係にも当てはまると思います。
気持ちを込めて接すると、やはり愛情で返ってくるように感じます。
その愛情と言うのは、その作物を食べると元気になったり、びっくりするような美味しさにつながったりするという事です。
僕は農家なので、やはりお客様には美味しい作物を提供したいです。
見た目も勿論大事ですが、もっと大事なのは素直に感じる美味しさだと思います。
そして、美味しさを感じて下さったお客様からの反応は、生産者としてとても励みになります。
「植物の成長」というテーマでしばらく書いてきましたが、その全ては、「作物の美味しさにつながるように」という考えで書いてきました。
自然相手なので、こちらの都合通りにはならないのが常で、日々の環境に適応する事がまずは大前提だと思います。
まだまだ分からないことだらけですが、経験を重ねながら、今後も技術や思考を磨いていきたいと思っています。
(収穫間近のメロン)
長谷川翔太(はせがわしょうた)
はせがわ農園
静岡県 富士宮市
1984年北海道生まれ。無農薬・無施肥リンゴで有名な木村秋則さんの自然栽培に感銘を受け、Hokkaido木村秋則自然栽培農学校で学ぶ。2017年6月、有機農業が盛んな富士宮市で「はせがわ農園」を開く。多品目の野菜に加え、成功例の少ないメロンの自然栽培に挑戦。農法確立はもちろん、味の追求にも力を尽くす。