2016.04.20
阿部正臣(アベマサオミ)とは
はじめまして。
徳島県上勝町旭(かみかつちょうあさひ)という、徳島市から車で約1時間の標高400mほどの傾斜地が多く山に囲まれた中山間地で、“有機農業を軸とした地域活性化”を目指して日々奮闘しております、阿部正臣と申します。
農業の傍ら、藍染、阿波踊り、空手道をしております。
(うちの藍畑。藍染の原料から育てます。)
僕は小さい頃、母方の里である徳島の東祖谷(ひがしいや)という山里で、祖父母とよく過ごしました。祖父母は、とうきび(トウモロコシ)や、ごうしも(地元のじゃがいも)をよく食べさせてくれたのですが、とうきびは獲りたてを炭火で。ごうしもは皮ごと焼き、味噌をつけてかぶりつく。これが本当に香ばしくて美味しい。食べることだけじゃなくて、茶摘みや栗拾い、アマゴ釣りなど、いろんなことを体験しました。この原体験が今の自分の活動の基になっているのだろうと思います。
現在、上勝町は日本の多くの中山間地が抱える過疎高齢化の課題に直面しています。人口は1700人弱。僕が移住した7年前が2000人ですから、7年で300人減っています。これから5年10年でさらに加速的に人口が減少し、近い将来、地域の担い手がいなくなり、地域が成り立たなくなるかもしれない状況となっています。
では地域の担い手を確保するためにどうするか。
その打開策として、有機農業が有効手段であると僕は考えます。
休耕地を田畑として有効利用でき、農業者は地域の担い手となる。
圃場の面積が狭い、自然災害・病虫獣害のリスクが高い、日照時間が短いなど中山間地での有機農業で食べていくのは難しいといわれますが、できないことはないと思います。有機農業は付加価値をつけやすい農法であり、安定生産、市場開拓ができれば、経済性をともない生業となります。
実際、僕の畑でできた野菜は食味・栄養価コンテストで最優秀賞を受賞しましたし、お客様から「美味しい」というお声をいただいています。少しずつですがお客様も増えており、新規就農して今年で3年目、一歩一歩少しずつですが形になってきています。
また、僕のテーマは、“自然、伝統、ものづくり”。
(収穫時期の藍の生葉。揉むと鮮やかな藍色に手が染まります。)
徳島にはすばらしい伝統文化があります。それを次世代につなぎたい。
有機農業で豊かな「自然」を、阿波踊りという「伝統芸能」を、蒅(すくも:藍の染料)づくりや、藍染といった「ものづくり」の魅力を、より多くの方に伝えたい。
そして人と自然、山と街をつなぎ、それを次の世代につなぎたいと思います。
阿部正臣(あべまさおみ)
徳島県 上勝町
1975年 徳島県生まれ。藍染を始めるために徳島県上勝町に移住。藍染業の傍ら育てた野菜が、農業関連のコンテストで食味、栄養価が評価され表彰される。それから、有機農業の研修を経て、2014年に就農。味わいだけでなく、健康に寄与するような機能性に富んだ野菜の栽培を心がけている。同時に、藍染ももう一つの生業として継続。阿波踊りや空手など、古くから親しまれてきた伝統文化の継承にも意欲を燃やす。