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2018.01.30

現場に来て、見て、感じてもらって一緒に学び合いをしていきたい|きぼうのたねカンパニー 菅野瑞穂

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この畑は、両親がよい土を求めて30年くらい前に借りた場所。もともと牧草地だったので土がふかふかなんです。標高が高く、向こうに安達太良山も見えて、作業していて気持ちいいんですよ。今は大根、人参、かぶなどの根菜類や高原野菜を収穫していますが、まもなく雪が降るシーズンなので、時間とのたたかいです。

私がこの町に戻ってきたのは、2010年。東京の大学を卒業してすぐです。学生時代は農業を継ぐ気はあまりなくて、セパタクローというスポーツに熱中したり、学生と社会人をつなぐイベントやセミナーを企画したりしていました。そこでフリーランスの人や起業した人にたくさん出会って、「こういう働き方があるのか」と思ったんです。
自分も起業したいけれど、いきなりは難しい。どんな働き方ができるだろうと考えたとき、身近にあった農業に目が向きました。農業だけでなく、都市と地域をつなぐ交流事業や、農業を基盤としたビジネスの可能性も探ってみたい。そう思ったらとにかく現場に行きたくなって、父のもとで有機農業を学ぶことにしました。実際に体験することが一番だと感じたからです。

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その翌年に東日本大震災と原発事故が起き、ここも被害を受けました。野菜の価格がものすごく下がって、先がわからない状況でした。他の地域で農業をしないかという誘いもありましたが、私はここでできることをしたかった。とにかく種をまいて野菜を作り、検査をして販売先を探そう……。マイナスからのスタートでした。

2011年から3年間、地元農家と新潟大学で調査を続けたところ、有機物が入った土が放射性物質を吸着し、作物にはほとんど検出されないことがわかりました。
土の力ってやっぱりすごい! 父から学んだ土作りの大切さや、循環型農業への確信を持ちました。そして、この現実をできるだけ多くの人に現場で伝えたいと思ったんです。

それが、2013年の「きぼうのたねカンパニー」設立につながりました。この会社では、自分で作った野菜を個別のお客さんやマルシェで販売すると同時に、農業体験ツアーやワークショップに力を入れています。参加者はのべ1000人以上。ありがたいことにリピーターも多くいます。

農業体験に価値を置くのは、農業が五感を磨く作業だと思うから。そして私自身、「農と共にはぐくむ教育」をベースに働きたいと思っているからです。とれたてのかぶをかじると本当に甘いことや、人参を引き抜くときの力の入れ方など、やってみなくちゃわからないことってたくさんあるんです。

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「福島、どうなってるの」「私に何ができますか?」と聞かれることも多いのですが、ここに来たことをきっかけに、小さなことでも何か自分で見つけてほしい。土の上に立ち、一緒に農作業をする中から、学び合いができたらいいなと思っています。

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[プロフィール]
菅野瑞穂(すげのみずほ)

1988年福島県生まれ。日本女子体育大学を卒業後、2010年に父正寿さんのもとで有機農業を始める。福島第一原発事故による福島の現状を伝えるため、2013年3月「きぼうのたねカンパニー」を設立。地域と都市をつなぐ農業体験ツアーやワークショップを実施する。


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菅野さんとSHARE THE LOVE for JAPAN

本文にも登場する瑞穂さのお父様、菅野正寿(すげの・せいじ)さんに「先駆者の言葉VOL6」で取材させていただいたご縁で、菅野瑞穂さんともお知り合いになりましおた。東日本大震災を経て、いまもなお、福島・旧東和町(現在は、旧二本松市、安達町、岩代町と合併して二本松市)で、その地を大切に耕し続ける瑞穂さんに、是非、お話を聞いてみたいと取材をお願いしました。この取材を機に、菅野瑞穂さんとのつながりを強めることができました。

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(祖母ミツ子さん、母まゆみさん、菅野家3代の女性たち。自宅は2016年から「農家民宿遊雲(ゆう)の里」を営む。)


SHOP INFO

きぼうのたねカンパニー株式会社
住所:〒964-0111 福島県二本松市太田字布沢282
URL:http://kibounotane.jp/

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