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2018.06.29

コンフューザー

この写真の赤い紐状のもの、何だかわかりますか?

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コンフューザー(交信撹乱剤)といいます。果樹にとって害虫となる虫(すべてではありませんが)の交信撹乱、つまり交尾を阻害して数を増やさないためのものです。

これは、福島県の果樹研究所と某メーカーが共同で開発したものです。一農家がやるだけでは全く効果がなく、産地全体で設置しないと効果が発揮されません。私の果樹園のある福島県県北地方の果樹地帯は(福島県の果樹地帯は県北地方に集中しています)、産地全体でコンフューザーが設置されています。これにより減農薬・天敵保護が実現し、生物多様性が保たれています。

福島県のある調査では、果樹園の園地には300種以上の生物が確認されています。このうち害虫は10〜15種程度にすぎません。のこりの大多数は、益虫(害虫に対する天敵)と、果樹に害をもたらさないただの虫です。もしコンフューザーがなく殺虫剤を使用した場合、これらの益虫やただの虫も殺してしまいます。

殺虫剤は同じものを繰り返し使うと害虫に耐性が付き、やがて効かなくなります。また新たな殺虫剤を開発、の繰り返しとなります。やがて効く殺虫剤が無くなる日が来るかもしれません。(殺ダニ剤に対して耐性がつきやすいダニの例に顕著あらわれています)

コンフューザーが開発された背景には、このような問題に関して、農薬(殺虫剤)に頼らない総合的防除体系の構築の必要性があったのだと思います。

今世紀初めには、福島県県北の産地全体でコンフューザーは設置されています。このような方法で福島県の果樹生産は減農薬を実現できており、現在コンフューザーは他県でも広がりを見せているようです。

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佐藤辰彦

佐藤辰彦(さとうたつひこ)
福島県 福島市

1976年福島県生まれ。大学、大学院と経済学を学び、首都圏で会社員として働く。東日本大震災後、困難な状況にあった福島にたびたび帰省する中で、実家の「佐藤果樹園」を継ぐことを決意。アグリイノベーション大学校で有機農業と養蜂を学んだ後、2017年にUターンした。

写真家の眼 佐藤 辰彦

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